「女性活躍」のリアル
10年前、私は「女性職の時代」という本を執筆しました。
当時から「女性の活躍」というワードは言われていましたが、男性中心企業社会の根は深く、バリバリ仕事で活躍できていた女性はごく一握りのこと。大半の女性は望む就職や仕事を手に入れることができず、また実現する為の手立ても努力の仕方も分からずに右往左往していました。
そうした現実を目の当たりにして数多くの相談を受けていた私は、彼女達を勇気づけようと「環境のせいにしていてもはじまらない。腹を括って自分で力強くキャリアを切り拓いていこう」とアドバイスとエールを送ったのです。
あれから10年―。女性を取りまく企業の状況は一変しました。
育児休業の充実や短時間勤務制度の導入など、特に、出産、育児、介護を抱えた女性に対する支援に積極的に取り組む企業は増えています。背景には、急増する“一生働き続けることを志望する女性達”への対応や、深刻な人手不足に新たな労働力としての期待もあって、企業は今、「女性の活躍」推進に向けて大きく舵を切ろうとしています。
理想的な方向に進んでいるように聞こえますよね。でも、本当のところはどうなのでしょう?
実は私の仕事柄、痛感していることがあります。それは「女性の活躍」を推進しようとする現場では、10年前と変わらず今なお女性も企業もそれぞれに問題や不満を抱えている、という現実です。むしろ、より具体的な課題が表出してきているように感じています。
連載では、「女性の活躍」の理想と現実の間で解を探る女性と企業に日々接している身として、「女性の活躍」にまつわる本音を語り、様々なリアルをお伝えしたいと思っています。
満足のいくキャリアをつかんで頂くための少しでも参考になれば幸いです。