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面接は“ホンネ”を語ろう


仕事柄、企業の採用のお手伝いをさせて頂くことがあります。
実際の面接に立ち会うこともしばしば。最近もある会社の社長秘書採用の面接官として20名以上の女性と面談したところでした。

で、結果はというと残念ながら全員不合格。
不合格になった女性に感じたこと―。それは、“ホンネを語っていないな”というものでした。

確かに、みんな企業にとって魅力的な話や良いことを言うんです。
「前職での接客の仕事を通して、お客様に満足して頂く喜びを知りました」とか「自分の成長のため、御社に貢献するため、骨身を惜しまず頑張ります!」とか。

「弱点や欠点はありますか?」との質問にも「周りに気を遣いすぎるところです」とか「何事にも集中し過ぎてしまうところです」などと、欠点どころかむしろ長所に聞こえるような回答をするところも同じ。

まるで模範解答を言わされているみたいに、みんなエピソードやメッセージが似ているんです。だから、どの人も印象に残らない。誰の言葉も表情も力がなく、真実味も感じられない。
これでは正直、もったいないなと思いました。

同様の話は、様々な企業の面接担当者から、うんざりさせられる話としてよく聞かれます。企業の競争力の源泉が人に依拠するようになった今、企業は採用に真剣で、お金も時間もエネルギーも莫大な投資をしています。

採用に本気の企業がまず面接で知りたいのは、「この人は信頼できそうか、どのぐらい仕事を頑張ってくれそうか」などを判断するに足るだけの「その人のホンネ」です。
いくらタテマエで、勤勉な努力家を装い、能力とやる気を口先でアピールしたとしても、そこは人を見るプロである面接官。見破られてしまうのは必須です。

加えて企業が見たいのは、「その人らしさ」。様々な能力や感性を持つ多様な人材に活躍してほしい企業にとっては、今まで以上に個性を重視しています。

面接では、普通っぽい無難な話でまとめるよりは、むしろ他の人が言わないようなことを語る方が、“面白い人材”として面接官の心を捉え、関心を引くことは間違いないでしょう。

就職は競争でもあります。面接でみんなと同じような話をしても勝つことはできないばかりか、同じようなことを延々と話すのはかえってマイナスだと心得ると良いでしょう。


中川 美紀 中川 美紀 職業:ビジネスアナリスト ソフトインテリジェンス塾 http://soft-intelligence.jp/
Twitter https://twitter.com/nakagawamiki

長野県長野市出身。
長野高校卒業後、東京学芸大学教育学部を経て、戦略系経営コンサルティング会社㈱XEED入社。アナリストとして様々なプロジェクトに従事。近年は特に、企業の人材育成やキャリアマネジメント、及びダイバーシティ推進など人事系の分野で活躍。大学生・転職希望者に対する適職実現の講演やセミナーでも好評を博している。

また、2007年に「東大生を中心とする大学生対象のリーダー育成プログラム、LIP(Leadership Incubation Program)」を立ち上げ、志と社会貢献意識をもつ学生達をメンバーに具体的なキャリア支援を行うと共に、2016年には地元長野市にて、働き方や生き方をともに考える女性の会「ソフトインテリジェンス塾」を主宰し、女性のキャリア支援に尽力中。
自身も一児の母であり、“仕事と子育てをともに楽しむこと”をモットーに、日々両立に励んでいる。

著書に「女性職の時代」(角川ONEテーマ新書)、「ワーク=ライフの時代」(ベスト新書)。